「新型コロナウイルスに感染しているときに“イブプロフェン”を服用すると、症状が悪化する可能性がある」とフランスの大臣がツイッターに投稿したようです。
“イブプロフェン”は、炎症を鎮める作用(抗炎症作用)を持つ解熱鎮痛薬の1つです。
“イブプロフェン”は、市販されている風邪薬や頭痛薬にもしばしば配合されている解熱鎮痛薬です。
そこで、ここでは、”イブプロフェン”の配合の有無に着目して、市販の風邪薬「パブロン」シリーズとの飲み合わせについて確認してみます。
新型コロナウイルス感染症の症状とは?
新型コロナウイルスに感染した場合、厚生労働省のホームページには、次のような症状の例が挙げられています。
☆ 息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
☆ 重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
※高齢者をはじめ、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)など)がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方
☆ 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合 (症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)
※厚生労働省ホームページより引用
※「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている」という記載が削除されました。
「息苦しさ(呼吸困難)」という点が通常の風邪症状との違いのように考えられますが、この症状を見て、周囲に・身近に新型コロナウイルス感染者がいない限り
風邪かな?
と考えても不思議ではないように感じます。
そして、仮に新型コロナウイルスに感染していても、まさか自分が新型コロナウイルスに感染しているとは思わず、市販の風邪薬を服用するという行為も自然な流れです。
市販の風邪薬には”イブプロフェン”配合の商品が数多くある中で、冒頭に記載した、フランスの大臣の「新型コロナウイルスに感染しているときに”イブプロフェン”を服用すると、症状が悪化する可能性がある」というツイッターへの投稿です。
「パブロン」とイブプロフェン
市販の風邪薬「パブロン」シリーズと”イブプロフェン”配合の有無について確認してみます。
「パブロン」シリーズといっても数多くの商品が市販されています。
「パブロン」シリーズの有効成分一覧、それを踏まえた違いや特徴、選び方などについては、こちらにまとめています。
「パブロン」シリーズにおいて、”イブプロフェン”を配合している商品は、「パブロンエースPro」や「パブロンメディカル」シリーズの商品です。
フランスの大臣の投稿が事実であれば、これらの「パブロン」は服用すべきでない、ということになります。
どの解熱薬は安全なのか?
新型コロナウイルスとイブプロフェンの関係性について、WHO(世界保健機関)は「調査中」としています。
後日、いまだに調査中ながら、「みずからの判断で服用しないでほしい」と声明を出しました。
新型コロナウイルス感染症が発熱を伴うことが想定される中で、
どの解熱薬なら安全なのか?
となります。
現時点において、イブプロフェンではなく“アセトアミノフェン”を使用するよう呼びかけているようです。
“アセトアミノフェン”配合の「パブロン」としては、シンプルな「パブロン」(パブロンエースProは除く)もしくは、「パブロン50」といった商品が該当します。
また、アセトアミノフェンは処方薬としても当然使用されており、処方薬の代表的な商品名が「カロナール」です。
処方薬「カロナール」は、アセトアミノフェンのみを配合した商品で、市販薬としてもアセトアミノフェン単一商品も販売されています。
新型コロナウイルスとイブプロフェン
新型コロナウイルスとイブプロフェンの関係性について、厚生労働省や世界的な保健機関(WHO・EMA)の見解についても調べてみました。
結論は、
アセトアミノフェンが安全ですよ!
という内容だったのですが、気になる方はご覧ください。
インフルエンザとNSAIDs
最後に参考までに紹介します。
解熱鎮痛薬として使用される薬は、次のように分類することもできます。
<解熱鎮痛薬の分類>
・NSAIDs→イブプロフェン
・NSAIDs以外→アセトアミノフェン
イブプロフェンのようなNSAIDsには抗炎症作用とともに、アセトアミノフェンよりも高い鎮痛効果が期待できます。
そこで、市販薬においても風邪薬や頭痛薬として、使用されているわけです。
新型コロナウイルスとしばしば対比されるのがインフルエンザ(ウイルス)です。
どちらもウイルス性の感染症で、風邪と見分けがつきにくいという点で比較されるのでしょう。
こちらの記事で触れているのですが、
インフルエンザに感染し発熱した場合も、イブプロフェンなどのNSAIDs服用より、アセトアミノフェンのほうが安全と考えられています。
ただし、イブプロフェン自体が危険・問題があるというわけではありません(詳細は上の記事をご覧ください)
このような観点からも、アセトアミノフェン配合の風邪薬や頭痛薬は使い勝手に優れた、比較的安全な薬であると考えられます。
新型コロナウイルス感染症もインフルエンザのように、
万が一かかっても、何とかなるよね。
と考えられるような状況に落ち着いてもらいたいものです。