新型コロナウイルスと市販薬の飲み合わせ、特に、配合されている解熱鎮痛薬に着目して、いくつか紹介してきました。
解熱鎮痛薬に着目した理由は、フランスの閣僚(保健相)がツイッターに「新型コロナウイルスに感染しているときに”イブプロフェン”を服用すると、症状が悪化する可能性がある」と投稿したからでした。
イブプロフェンは市販の風邪薬などにも幅広く配合されており、こちらでは市販の風邪薬のメジャーブランド「パブロン」と「ルル」について、新型コロナウイルス感染時の飲み合わせについてまとめました。
当記事では、風邪薬として市販薬でも処方薬でも使用されている「PL配合顆粒」(以下、「PL顆粒」)の新型コロナウイルス感染時の飲み合わせについてまとめてみます。
こちらが「PL顆粒」です。
ちなみに、「PL顆粒」は処方薬における商品名で、市販薬としては「パイロンPL顆粒」という商品名で販売されています。
「PL顆粒」は処方薬の風邪薬として長年使われています。
そして、2017年に処方薬「PL顆粒」の市販薬バージョン「パイロンPL顆粒」が発売されました。
さらに、2019年にはその錠剤バージョン「パイロンPL錠」が発売されました。
Contents
処方薬「PL顆粒」と市販薬「パイロンPL顆粒」の違い
処方薬「PL顆粒」と市販薬「パイロンPL顆粒」の違いについて始めに紹介しておきます。
処方薬「PL顆粒」と市販薬「パイロンPL顆粒」には、実は全く同じ有効成分が配合されています。
<「PL顆粒」と「パイロンPL顆粒」の有効成分>
・アセトアミノフェン:解熱鎮痛薬
・サリチルアミド:解熱鎮痛薬
・無水カフェイン:鎮痛補助薬
・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:抗ヒスタミン薬
ただ、その配合量などに違いがあります。
詳細な違いの比較については、こちらの記事にまとめています。
気になる方はご参照ください。
新型コロナウイルスにはアセトアミノフェンが安全
WHOやEMAといった世界的な保健機関は、新型コロナウイルス感染時の解熱鎮痛薬としては、イブプロフェンではなくアセトアミノフェンの使用を推奨しています。
「PL顆粒」・「パイロンPL顆粒」に配合されている解熱鎮痛薬の1つは”アセトアミノフェン”です。
サリチルアミドは大丈夫なのか?
問題は”サリチルアミド”です。
「PL顆粒」と「パイロンPL顆粒」にはアセトアミノフェンの他にサリチルアミドという解熱鎮痛薬も配合されています。
サリチルアミドは、広くいえばイブプロフェンと同じNSAIDsに分類される解熱鎮痛薬です。
NSAIDsには、熱を下げる解熱作用に加えて、炎症を鎮める抗炎症作用があります。
先に紹介した「新型コロナウイルス感染でも飲めるアセトアミノフェン配合の市販薬」にも記載しているのですが、イブプロフェンが新型コロナウイルス感染による症状を悪化させるという確たる証拠は今のところ”ない”ようです。
ただし、イブプロフェンを含むNSAIDsには、その抗炎症作用によって感染症のさらなる悪化の兆候が隠されてしまう可能性があるため、安易にイブプロフェンなどのNSAIDsを服用すると、
感染症の悪化を見逃しかねない
だから、「アセトアミノフェン配合の解熱鎮痛薬にしましょうね」という論調となっています。
「PL顆粒」の服用は自粛したほうが安全
そう考えると、サリチルアミドを配合している「PL顆粒」・「パイロンPL顆粒」の服用も問題ないのか、と感じるかもしれません。
一方で、サリチルアミドについては、新型コロナウイルスともたびたび比較されていたインフルエンザとの関連性が以前から指摘されています。
インフルエンザや水痘(水ぼうそう)罹患時のサリチルアミドやアスピリン(市販薬なら「バファリン」の一部商品に配合)の服用について、ライ症候群という急性脳炎の関連性が指摘されています。
特に15歳未満の患者にはご法度とされています。
インフルエンザも水痘(水ぼうそう)もウイルスが原因の感染症です。
新型コロナウイルスと直接的な関連性ではありませんが、同じウイルス感染症であるインフルエンザや水痘(水ぼうそう)でこのような関連性が指摘されている状況で、
「PL顆粒」・「パイロンPL顆粒」を服用することは自粛したほうが安全
かと考えます。
市販薬にしても、「パイロンPL顆粒」のほかにも冒頭で紹介した「パブロン」や「ルル」など、山ほど風邪薬は販売されています。
ただ、ライ症候群との関連性を知らずに飲んでしまったとしても、絶望する必要はありません。