「ムヒ」シリーズの有効成分の違いと、それを踏まえた、効果の違いや選び方、他かゆみ止めとの違いなどについて紹介します。
ムヒシリーズには、以下4種類の商品が販売されています。
<ステロイド未配合(ノンステロイド)>
●ムヒS
<ステロイド配合>
●液体ムヒS2a
●ムヒアルファSⅡ
●ムヒアルファEX
4種類の「ムヒ」は、ステロイドの有無で大別できるかと思います。
ステロイド薬が配合されていない、ノンステロイドの商品が「ムヒS」です。
その他3商品には、ステロイド薬が配合されています。
Contents
「ムヒ」シリーズの違い~有効成分比較~
「ムヒ」に配合されている有効成分は次の通りです。
ムヒS | 液体ムヒS2a | ムヒアルファSⅡ | ムヒアルファEX | ||
かゆみ止め | ジフェンヒドラミン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
クロタミトン | ー | ー | 〇 |
〇 (クリーム剤のみ) |
|
抗炎症薬 | グリチルレチン酸 | 〇 | 〇 | 〇 | ー |
殺菌剤 |
イソプロピル メチルフェノール |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
清涼剤 | l-メントール | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
d-カンフル | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
ステロイド薬
|
デキサメタゾン 酢酸エステル |
ー | 〇 | 〇 | ー |
プレドニゾロン 吉草酸エステル酢酸エステル |
ー | ー | ー | 〇 |
「ムヒ」シリーズは「ムヒS」を基準に、その他の商品を比較してみると、違いが把握しやすくなるのではないかと考えます。
各商品の基準とする「ムヒS」の有効成分の役割は次の通りです。
「ムヒS」有効成分
・ジフェンヒドラミン:かゆみ止め
・グリチルレチン酸:抗炎症薬
・イソプロピルメチルフェノール:殺菌剤
・l-メントール、dl-カンフル:清涼剤
「ムヒS」に、かゆみ・炎症止めであるステロイド薬”デキサメタゾン酢酸エステル”を配合した商品が「液体ムヒS2a」と「ムヒアルファSⅡ」です。
「ムヒアルファSⅡ」には、かゆみ止め成分”クロタミトン”がさらに配合されています。
「ムヒS」に、かゆみ・炎症止め効果がムヒシリーズにおいて最も高いステロイド薬”プレドニロン吉草酸エステル酢酸エステル”を配合された商品が「ムヒアルファEX」です。
つまり、「ムヒS」を除く3商品にはステロイド薬が配合されていることになります。
ここまでをまとめると次の通りです。
※「ムヒS」を基準にした他3商品の特徴
<ムヒS>
基準(ノンステロイド薬)
<液体ムヒS2a>
「ムヒS」+ステロイド薬(デキサメタゾン酢酸エステル)
<ムヒアルファSⅡ>
「ムヒS」+ステロイド薬(デキサメタゾン酢酸エステル)+クロタミトン
<ムヒアルファEX>
「ムヒS」+ステロイド薬(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)
続いて、各商品の特徴について紹介していきます。
ムヒアルファEX
「ムヒ」シリーズにおいて、かゆみ・炎症を鎮める作用が最も高い“プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル”を配合した商品が「ムヒアルファEX」です。
患部がひどくかゆい・赤く腫れ上がったりした場合には、「ムヒアルファEX」の使用を検討ください。
クリーム剤の商品も販売されています。
液体ムヒS2a
子供(小学生程度まで)の虫さされに使用する場合、ステロイドの強さを考えると”デキサメタゾン酢酸エステル”配合の「液体ムヒS2a」または「ムヒアルファSⅡ」が適当かと考えます。
ムヒアルファSⅡ
「ムヒアルファSⅡ」には、かゆみ止めとして”クロタミトン”がさらに配合されています。
「液体ムヒS2a」よりもかゆみを鎮める作用は強いと考えられます。
ムヒS
有効成分にかゆみ止めのみを配合したステロイド成分を配合していない、シンプルなノンステロイドの商品です。
軽いかゆみの程度であれば「ムヒS」で十分でしょう。
「ムヒ」シリーズの強さ
「ムヒ」シリーズは、配合されている有効成分(主にステロイド薬)によって、かゆみ・炎症を鎮める強さを判断することができます。
配合されているステロイド薬の強さは次の通りです。
※かゆみ・炎症を抑える強さ
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル>デキサメタゾン酢酸エステル
これを踏まえて、「ムヒ」シリーズのかゆみ・炎症を鎮める強さの程度は強い順に次のようになると考えられます。
<かゆみ・炎症を鎮める強さ(※強い順)>
①ムヒアルファEX(「プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル」配合)
②ムヒアルファSⅡ(「デキサメタゾン酢酸エステル」配合)
③液体ムヒS2a(「デキサメタゾン酢酸エステル」配合)
④ムヒS(ステロイド未配合)
「ムヒアルファSⅡ」と「液体ムヒS2a」に配合されているステロイド薬は同じですが、「ムヒアルファSⅡ」には”クロタミトン”というかゆみ止めが配合されているため、「液体ムヒS2a」よりも効果が高いとランク付けしました。
「ムヒ」シリーズの選び方
ここまで、「ムヒ」シリーズの違いやかゆみ・炎症を鎮める強さなどについて紹介してきました。
結局、どの商品を選べば良いか?
となろうかと思います。
「ムヒ」はかゆみ止めです。
かゆみ止めなので、かゆみを鎮めてくれさえすれば、基本的にどの商品でもいいわけです。
「ムヒ」4商品のかゆみを鎮める効果(作用)の大小を、配合されているステロイド薬を基準に評価すると次のようになると上述しました。
<かゆみ・炎症を鎮める強さ(※強い順)>
①ムヒアルファEX
②ムヒアルファSⅡ
③液体ムヒS2a
④ムヒS
「ムヒ」は、かゆみの程度に応じて商品を選ぶことができます。
最もかゆみを鎮める効果が高い商品は「ムヒアルファEX」です。
続いて「ムヒアルファSⅡ」・「液体ムヒS2a」・「ムヒS」の順になると考えられます。
「ムヒアルファSⅡ」と「液体ムヒS2a」の違いは、かゆみ止め成分”クロタミトン”が配合されているかどうかだけなので、「ムヒアルファSⅡ」を選ぶメリットは小さいように感じます。
したがって、「ムヒアルファSⅡ」を除く、「ムヒアルファEX」・「液体ムヒS2a」・「ムヒS」3商品から、かゆみの程度に応じて選ぶと良いと考えます。
「ムヒ」はかゆみ全般に使用可能
効能・効果には、様々記載がありますが、有効成分を読み解くと「かゆみ」全般に効くということです。
「ムヒ」には”スーッとした使用感(爽快感)”を出すために、清涼剤としてメントール・カンフルが含まれています。
虫さされなどにより、患部が熱(炎症)をもつことがあります。
これら清涼剤成分の効果で一時的にかゆみがごまかされます。
「ムヒ」はかゆみ全般に使用可能ですが、清涼剤が入っているあたりを考えると、やはり虫さされ中心のかゆみに使用することが一般的となるでしょう。
使用上の注意点
「ムヒ」シリーズには、メントールやカンフルといった清涼剤が配合されています。
これらの成分が傷口や眼の周りなどのデリケートな部分に付くと、刺激を感じる原因となるので注意が必要です。
液体・クリームどちらを選ぶか?
液体とクリーム2つの剤形の商品が販売されています。
液剤であれば、手を使って患部に塗る必要がないので、手を汚さずに済みます。
そういった点においては、液体の商品のほうが、使い勝手は良いかと考えます。
汗かぶれ用のムヒ「アセムヒEX」
ここまで紹介してきた「ムヒ」を”あせも”に対して使用しても構いません。
一方で、「汗かぶれに効くムヒ」として販売されている商品が「アセムヒEX」です。
汗をかくたびに、
という症状がある方は、”汗かぶれ”かもしれません。
「ムヒ」シリーズまとめ
ここまで4種類の「ムヒ」シリーズの違いや選び方・選ぶポイントなどについて紹介しました。
「ムヒ」シリーズから商品を選ぶポイントは”かゆみの程度“です。
かゆみ・炎症を鎮める強さの程度は、強い順に次のようになると考えられます。
①ムヒアルファEX
②ムヒアルファSⅡ
③液体ムヒS2a
④ムヒS
患部のかゆみや炎症・腫れが強い場合には「ムヒアルファEX」、少しかゆい程度であれば「ムヒS」を選ぶと良いかと考えます。
その中間の商品として、「液体ムヒS2a」や「ムヒアルファSⅡ」が販売されています。
有効成分の違いを把握して、かゆみの程度に合わせて最適な「ムヒ」を選び出してください。
「ムヒ」シリーズ基本情報
最後になりましたが、「ムヒ」4商品の有効成分、効能・効果などの基本情報を紹介しておきます。
ムヒシリーズのベース薬「ムヒS」
<有効成分>
・ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬)
・グリチルレチン酸(抗炎症薬)
・イソプロピルメチルフェノール(殺菌剤)
・l-メントール(清涼剤)
・dl-カンフル(清涼剤)
<効能・効果>
かゆみ、虫さされ、かぶれ、湿疹、かぶれ、じんましん、あせも、しもやけ、皮膚炎
<用法・用量>
1日数回、患部に塗布
「ムヒS」にステロイドが配合された「液体ムヒS2a」
「ムヒS」にステロイド薬”デキサメタゾン酢酸エステル”が配合された商品です。
<有効成分>
・デキサメタゾン酢酸エステル(ステロイド)
・ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬)
・グリチルレチン酸(抗炎症薬)
・イソプロピルメチルフェノール(殺菌剤)
・l-メントール(清涼剤)
・dl-カンフル(清涼剤)
<効能・効果>
かゆみ、虫さされ、かぶれ、湿疹、かぶれ、じんましん、あせも、しもやけ、皮膚炎
<用法・用量>
1日数回、患部に塗布
「液体ムヒS2a」にさらにかゆみ止めを配合
「液体ムヒS2a」に、かゆみ止め成分である”クロタミトン”をさらに配合した商品です。
<有効成分>
・デキサメタゾン酢酸エステル(ステロイド)
・クロタミトン(かゆみ止め)
・ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬)
・グリチルレチン酸(抗炎症薬)
・イソプロピルメチルフェノール(殺菌剤)
・l-メントール(清涼剤)
・dl-カンフル(清涼剤)
<効能・効果>
かゆみ、虫さされ、かぶれ、湿疹、かぶれ、じんましん、あせも、しもやけ、皮膚炎
<用法・用量>
1日数回、患部に塗布
抗炎症作用が最も高い「ムヒアルファEX」
ムヒシリーズにおいて、かゆみ・炎症を鎮める作用(抗炎症作用)が最も高いステロイド薬”プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル”を配合した商品が「ムヒアルファEX」です。
<有効成分>
・プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(ステロイド薬)
・ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬)
・クロタミトン(かゆみ止め ※液体ムヒアルファEXには未配合)
・イソプロピルメチルフェノール(殺菌剤)
・l-メントール(清涼剤)
・dl-カンフル(清涼剤)
<効能・効果>
かゆみ、虫さされ、かぶれ、湿疹、かぶれ、じんましん、あせも、しもやけ、皮膚炎
<用法・用量>
1日数回、患部に塗布
<主な使用上の注意>
傷口、眼の周囲、粘膜等には使用しない。