市販のかぜ薬のメジャーブランドである「パブロン」シリーズの有効成分を比較し、それを踏まえた効果の違いや正しい選び方などについて紹介します。
「パブロン」シリーズのラインナップは主に以下4種類です。
<15歳未満も服用できる>
・パブロンゴールドA:12歳から
・パブロンSα:1歳から(微粒に限り)
・パブロンSゴールドW:12歳から
<15歳から服用>
・パブロンエースPro
上3種類(パブロンゴールドA、パブロンSα、パブロンSゴールドW)は15歳未満の子供さんでも服用できます。
一方で、「パブロンエースPro」は15歳からの服用となります。
Contents
「パブロン」シリーズの違い~有効成分を比較~
「パブロン」シリーズの有効成分上の違いは、次の比較表の通りです。
パブロンゴールド | パブロンSα | パブロンSゴールドW | パブロンエースPro | ||
3錠中 | |||||
頭痛・発熱 |
アセトアミノフェン 300mg |
アセトアミノフェン 300mg |
アセトアミノフェン 300mg |
イブプロフェン 200mg |
|
せき | せき止め |
ジヒドロコデイン 8mg |
ジヒドロコデイン 8mg |
ジヒドロコデイン 8mg |
ジヒドロコデイン 8mg |
気管支拡張薬 |
dl-メチルエフェドリン 20mg |
dl-メチルエフェドリン 20mg |
ー |
dl-メチルエフェドリン 20mg |
|
たん |
グアイファネシン 60mg |
ブロムヘキシン 4mg |
アンブロキソール 15mg L-カルボシステイン 250mg |
アンブロキソール 15mg L-カルボシステイン 250mg |
|
くしゃみ・はな水 |
クロルフェニラミン 2.5mg |
マレイン酸カルビノキサミン 2.5mg |
クロルフェニラミン 2.5mg |
クロルフェニラミン 2.5mg |
|
鎮痛補助薬 |
無水カフェイン 25mg |
無水カフェイン 25mg |
ー | ー | |
ビタミンB |
リボフラビン 4mg |
ビスイブチアミン 8mg リボフラビン 4mg |
リボフラビン 4mg |
リボフラビン 4mg |
「パブロン」シリーズは、6~8種類の有効成分が配合されて構成されています。
どの商品であっても、代表的なかぜの諸症状、熱や痛み(頭痛・関節痛)・のど(せき・たん)・鼻(くしゃみ・鼻みず・鼻づまり)、に対して効く成分は配合されています。
しかし、有効成分がそれぞれの商品で少しずつ異なっており、特に有効となるかぜの症状が商品ごとに異なります。
続いて、有効成分の違いも踏まえて、各商品の特徴などについて紹介します。
「パブロン」シリーズの正しい選び方
「パブロン」シリーズの有効成分上の違いについて紹介しました。
有効成分の違いから期待できる効果の違いを踏まえて、「パブロン」シリーズの選び方を検討します。
4商品を選ぶポイントは、大まかに次のようになります。
<せきがつらい>
パブロンゴールドA、パブロンSα、パブロンエースPro
<たんの絡みがつらい>
パブロンSゴールドW、パブロンエースPro
<頭痛・のどの痛みがつらい>
パブロンエースPro(15歳以上から服用可)
「パブロンエースPro」に配合されている解熱鎮痛薬(熱さまし・痛み止め)は、他3商品と異なるため、服用対象年齢が15歳からとなっています。
4商品それぞれの特徴や選び方について詳しく紹介します。
パブロンゴールドA
「パブロン」シリーズにおける最もスタンダードな商品です。
メーカーの希望小売価格も一番安く、最も手に取りやすい「パブロン」でもあります。
微粒の商品も販売されています。
パブロンSα
痰の絡みがつらいときは「パブロンSα」です。
「パブロンSα」には、処方せん用医薬品としても使われている去痰薬”ブロムヘキシン”が配合されています。
痰の絡みが気になるときは、「パブロンゴールドA」よりも「パブロンSα」のほうが最適です。
微粒の商品であれば、1歳から服用可能です。
パブロンSゴールドW
「パブロンSゴールドW」は12歳から服用できる商品です。
数あるかぜ薬の中から商品を選ぶ際には、「パブロンSゴールドW」を基準に探すと選びやすいのではないかと考えます。
というのも、「パブロンSゴールドW」に配合されている有効成分は、病院でかぜ薬として処方を受けるであろう薬と同様の成分が配合されています。
かぜできつい中、わざわざ病院に行かずとも、処方を受けるであろう薬と同じような薬を、市販薬として手に取ることができるわけです。
微粒の商品も販売されています。
「パブロンSゴールドW」と処方せん用医薬品の比較について、こちらの記事にまとめています。
使用上の注意点~副作用~
ここまで紹介した3商品の使用上の注意点(副作用)は、共通して主に”眠気”です。
3商品に共通して配合されている抗ヒスタミン薬が主な原因です。
眠気の副作用は、抗ヒスタミン薬を配合しているかぜ薬に共通して起こりうる副作用です。
逆に言えば、抗ヒスタミン薬を配合していない(抗ヒスタミン薬フリー)商品であれば、基本的に眠気の副作用を気にする必要はありません。
「パブロン」には、抗ヒスタミン薬フリーのかぜ薬「パブロン50」という商品が販売されています。
顆粒の商品も販売されています。
「パブロン50」の選び方・選ぶポイント、他商品との違いなどについては、こちらの記事にまとめています。
眠気の副作用がどうしても気がかりという方は、「パブロン50」の服用を検討ください。
パブロンエースPro
特に、頭痛・のどの痛みがつらいときに最適な商品が「パブロンエースPro」です。
“アセトアミノフェン”よりも強力な鎮痛薬(痛み止め)である”イブプロフェン”が配合された商品です。
“イブプロフェン”には解熱鎮痛作用だけでなく、抗炎症作用もあります。
“イブプロフェン”の解熱鎮痛作用・抗炎症作用により、「つらいのどの痛み」に最適と謳っている商品です。
「パブロンエースPro」は他3商品と違い、15歳からの服用となります。
微粒の商品も販売されています。
「パブロンエースPro」に配合されている有効成分は、「パブロンSゴールドW」の解熱鎮痛薬を”イブプロフェン”に代えた内容となっています。
先に、「パブロンSゴールドW」に配合されている有効成分は、病院で「かぜ薬」として処方を受ける薬と変わらないことを紹介しました。
つまり、「パブロンエースPro」も処方薬と変わらない効果を得られると考えられます。
「パブロンエースPro」の服用対象年齢は15歳以上なので、「パブロンSゴールドW」と次のような使い分けもできるでしょう。
<15歳以上の方のかぜ薬>
パブロンエースPro
<15歳未満の方のかぜ薬>
パブロンSゴールドW
使用上の注意点
「パブロンエースPro」の主な使用上の注意点は、他3商品と同様”眠気”です。
「パブロンエースPro」には抗ヒスタミン薬として”クロルフェニラミン”が配合されています。
「パブロンエースPro」の主な副作用は”眠気”ですが、”眠気”の副作用は抗ヒスタミン薬を配合しているかぜ薬を服用する場合、共通する注意点です。
また、「パブロンエースPro」と他3商品とでは、配合されている解熱鎮痛成分が異なります。
「パブロンエースPro」には、解熱鎮痛薬成分として”イブプロフェン”が配合されています。
“イブプロフェン”配合の薬を服用する上で、妊婦さん、胃・十二指腸潰瘍既往歴がある方、腎臓が悪い方などの服用には注意が必要です。
「イブプロフェン」配合商品の注意点
「パブロンエースPro」には”イブプロフェン”が配合されています。
そのため、以下のような方は服用に際してさらに注意が必要となります。
・妊娠さん
・胃・十二指腸潰瘍既往歴がある方
・腎臓が悪い方
・15歳未満の服用NG
妊娠後期の妊娠さんの服用には、注意が必要です。
胎児の動脈管閉鎖症が問題となる場合があります。
また、”イブプロフェン”は胃にダメージを与えます。
そのため、胃・十二指腸潰瘍の既往歴がある方(現病歴である方も含みます)の服用は注意が必要です。
しかし、妊娠さんであれば、定期検診にかかるでしょうし、胃・十二指腸潰瘍歴がある方は食後服用を徹底することでリスクを抑えることは可能です。
そして、一般的にかぜ薬の服用期間は短期間です。仮に服用してしまった場合でも、大怪我につながる可能性は低いと考えます。
問題は「腎臓が悪い方」が服用した場合です。
腎臓が悪い方が、”イブプロフェン”のようなNSAIDsを服用すると急速に腎機能が悪化することがあります。
腎臓が悪い方の服用には、細心の注意が必要となります。注意というよりも、服用しないでください。
さらに、市販薬において、15歳未満の服用は認められていません。
安全面で選ぶなら”アセトアミノフェン”を配合しているその他3商品です。
重ねてになりますが、使用上の注意点は頭の片隅に置いて、過度に怖がらず正しく服用してください。
「パブロンメディカル」シリーズの違いと選び方
「パブロンエースPro」と同じく”イブプロフェン”配合の商品として、「パブロンメディカル」シリーズが販売されています。
“アセトアミノフェン”よりも鎮痛効果が高い”イブプロフェン”を配合し、様々なかぜ症状に合わせて服用できる商品が「パブロンメディカル」シリーズです。
「パブロンメディカル」シリーズの違いや選び方などについては、こちらの記事にまとめています。
「パブロン」シリーズまとめ
ここまで「パブロン」シリーズの違いと選び方・選ぶポイントを紹介しました。
・スタンダードなかぜ薬
パブロンSゴールドW、パブロンゴールドA
・1歳から服用可能
パブロンSα
・特に、頭痛・のどの痛みがつらいとき
パブロンエースPro
家庭の常備薬を「パブロン」シリーズから選ぶ場合、「パブロンゴールドA」もしくは「パブロンSゴールドW」が最適かと考えます。
解熱鎮痛薬に”アセトアミノフェン”を配合している商品は、15歳未満のお子さんも服用できます。
“アセトアミノフェン”の鎮痛効果は”イブプロフェン”などと比べて幾分劣りますが、解熱作用は優れています。
家庭の常備薬としては、”アセトアミノフェン”を配合した商品が使い勝手が良いかと考えます。
また、「パブロンエースPro」には、他3商品と異なり”イブプロフェン”という解熱鎮痛薬が配合されています。
“イブプロフェン”は”アセトアミノフェン”よりも優れた鎮痛作用を発揮します。
その一方で、注意点も増える上、15歳未満の服用はNGです。
ただし、使用上の注意点に該当しない方は服用する価値は十分にあると考えます。
最後になりますが、せき止めとして配合されている”ジヒドロコデイン”の過鎮静(呼吸抑制)がアメリカで問題となり、日本でもそれに準じて注意喚起がなされています。
配合量が少ないので、問題ないだろうと考えますが、念のため頭の片隅に置いておいてください。
以上、「パブロン」シリーズの違いと選び方についてでした。
ご参考になれば、幸いです。
「パブロン」シリーズ基本情報
最後になりましたが、「パブロン」シリーズ計4種類の有効成分や効能・効果などの基本情報を紹介しておきます。
パブロンゴールドA
<有効成分(3錠・1包中)>
・アセトアミノフェン:300mg(解熱鎮痛薬)
・グアイファネシン:60mg(鎮咳去痰薬)
・ジヒドロコデイン:8mg(咳止め)
・dl-メチルエフェドリン:20mg(気管支拡張薬)
・クロルフェニラミン:2.5mg(抗ヒスタミン薬)
・無水カフェイン:25mg(鎮痛補助薬)
・ビタミンB
<効能・効果>
かぜの諸症状(せき、たん、のどの痛み、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和
<用法・用量>
1日3回、以下の用量をなるべく食後30分以内に服用
[錠剤の場合]
・15歳以上:1回3錠
・12歳以上14歳以下:1回2錠
・12歳未満:服用NG
[微粒の場合]
・15歳以上:1回1包
・12歳以上14歳以下:1回2/3包
・12歳未満:服用NG
<使用上の注意>
眠気に注意
パブロンSα
<有効成分(3錠・1包中)>
・アセトアミノフェン:300mg(解熱鎮痛薬)
・ブロムヘキシン:4mg(去痰薬)
・ジヒドロコデイン:8mg(咳止め)
・dl-メチルエフェドリン:20mg(気管支拡張薬)
・マレイン酸カルビノキサミン:2.5mg(抗ヒスタミン薬)
・無水カフェイン:25mg(鎮痛補助薬)
・ビタミンB
<効能・効果>
「パブロンゴールドA」に同じ
<用法・用量>
1日3回、以下の用量をなるべく食後30分以内に服用
[錠剤の場合]
・15歳以上:1回3錠
・11歳以上14歳以下:1回2錠
・5歳以上10歳以下:1回1錠
・5歳未満:服用NG
[微粒の場合]
・15歳以上:1回1包
・11歳以上14歳以下:1回2/3包
・7歳以上10歳以下:1回1/2包
・3歳以上6歳以下:1回1/3包
・1歳以上2歳以下:1回1/4包
・1歳未満:服用NG
<使用上の注意>
眠気に注意
パブロンSゴールドW
<有効成分(2錠・1包中)>
・アセトアミノフェン:300mg(解熱鎮痛薬)
・ジヒドロコデイン:8mg(咳止め)
・クロルフェニラミン:2.5mg(抗ヒスタミン薬)
・アンブロキソール:15mg(去痰薬)
・カルボシステイン:250mg(去痰薬)
・ビタミンB
<効能・効果>
「パブロンゴールドA」に同じ
<用法・用量>
1日3回、以下の用量をなるべく食後30分以内に服用
[錠剤の場合]
・15歳以上:1回2錠
・12歳以上14歳以下:1回1錠
・12歳未満:服用NG
[微粒の場合]
・15歳以上:1回1包
・12歳以上14歳以下:1回1/2包
・12歳未満:服用NG
<使用上の注意>
眠気に注意
パブロンエースPro
<有効成分(3錠・1包中)>
・イブプロフェン:200mg(解熱鎮痛薬)
・ジヒドロコデイン:8mg(咳止め)
・クロルフェニラミン:2.5mg(抗ヒスタミン薬)
・アンブロキソール:15mg(去痰薬)
・カルボシステイン:250mg(去痰薬)
・dl-メチルエフェドリン:20mg(気管支拡張薬)
・ビタミンB
<効能・効果>
「パブロンゴールドA」に同じ
<用法・用量>
1日3回、以下の用量をなるべく食後30分以内に服用
[錠剤の場合]
・15歳以上:1回3錠
・15歳未満:服用NG
[微粒の場合]
・15歳以上:1回1包
・15歳未満:服用NG
<使用上の注意点>
・眠気に注意
・妊婦さん、胃・十二指腸潰瘍既往歴がある方、腎臓が悪い方などは服用注意