病院でかぜ薬として処方を受けることがある商品が「PL顆粒」(正式名称は「PL配合顆粒」)です。
「PL顆粒」とは、”頭痛・熱、くしゃみ・鼻みず・鼻づまり”といった、いわゆるかぜの諸症状を緩和する”総合感冒薬”の1つです。
処方せん用医薬品(処方薬)「PL顆粒」という商品名に、そっくりな市販薬が販売されています。
「パイロンPL顆粒」です。
ここでは、「パイロンPL顆粒」について、処方薬「PL顆粒」と比較しながら紹介します。
Contents
「パイロンPL顆粒」基本情報
こちらは市販薬「パイロンPL顆粒」です。
<有効成分(1包0.8g中)>
・サリチルアミド:216mg(解熱鎮痛薬)
・アセトアミノフェン:120mg(解熱鎮痛薬)
・無水カフェイン:48mg(鎮痛補助薬)
・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:10.8mg(抗ヒスタミン薬)
<効能・効果>
かぜの諸症状(のどの痛み、頭痛・発熱、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりなど)の緩和
<用法・用量>
・15歳以上:1回1包、1日3回服用
・15歳未満:服用NG
<服用上の注意点>
・眠気・排尿困難に注意
・次の診断を受けた人
(肝臓病、腎臓病、胃・十二指腸潰瘍、緑内障など)
処方薬「PL顆粒」基本情報
こちらは処方薬「PL配合顆粒」です。
<有効成分(1包1g中)>
・サリチルアミド:270mg(解熱鎮痛薬)
・アセトアミノフェン:150mg(解熱鎮痛薬)
・無水カフェイン:60mg(鎮痛補助薬)
・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:13.5mg(抗ヒスタミン薬)
<効能・効果>
感冒もしくは上気道炎に伴う、鼻汁・鼻閉、咽・喉頭痛、頭痛、関節痛、筋肉痛、発熱の改善及び緩和
<用法・用量>
1回1g(1包)、1日4回服用(適宜増減)
<服用上の注意点>
・緑内障の方
・前立腺肥大症の方
・2歳未満の乳幼児
各項目の違い
「パイロンPL顆粒」と「PL顆粒」の違いについて、以下の項目を確認してみます。
・有効成分
・効能・効果
・用法・用量
・服用上の注意点
有効成分の違い
配合されている有効成分は全く同じです。
ただし、配合量が異なります。配合量は異なりますが、その割合は同じです。
「PL顆粒」は1包あたり1gですが、「パイロンPL顆粒」は1包あたり0.8gです。
1包あたりの製剤量が異なるので、有効成分の配合量も異なっていますが、その割合は同じです。
つまり、「パイロンPL顆粒」は「PL顆粒」に対して、有効成分は20%カットされています。
効能・効果の違い
記載されている文言の違いはありますが、内容的には同じです。
2商品ともに、総合感冒薬ですから、”頭痛・熱、くしゃみ・鼻みず・鼻づまり”といったかぜの諸症状の緩和のために服用することになります。
ただし、“せき・痰”に効果が高い成分は配合されていません。
したがって、せき・痰がつらい場合には、「パブロン」や「ルルA」といった他ブランドの総合感冒薬を服用するほうが適当だろうと考えます。
用法・用量の違い
用法・用量には、ちょっとした違いがあります。
市販薬である「パイロンPL顆粒」は1日3回の服用となっています。
一方、処方薬である「PL顆粒」の用法・用量は添付文書上では、1日4回の服用となっています(場合によって異なります)
服用上の注意点の違い
服用上の注意点においても、記載されている文言の違いはありますが、内容的には同じです。
配合されている有効成分が同じなので、当然と言えば当然です。
どちらの「PL顆粒」も、抗ヒスタミン薬を配合した総合感冒薬です。
したがって、基本的には、眠気・口渇・尿閉などの抗ヒスタミン薬による副作用を警戒しなければなりません。
副作用は必ず引き起こすものではありません。
念のため、頭の片隅に置いておいてください。
「パイロンPL顆粒」・「PL顆粒」の比較まとめ
ここまで、「パイロンPL顆粒」と「PL顆粒」の違いについて、2商品を比較しながら、紹介しました。
この2商品においては、1包あたりに配合されている製剤量が異なっています。
有効成分の割合は同じなのですが、製剤量は「パイロンPL顆粒」が20%少ないので、それぞれの有効成分に関しても20%少なくなっています。
用法・用量においても、「パイロンPL顆粒」は1日3回、「PL顆粒」は1日4回と少し違いがあります。
一方で、”効能・効果”や”服用上の注意点”は同じです。
「パイロンPL顆粒」は、「PL顆粒」に対して20%有効成分はカットされているものの、ほぼ同様の効果を示すだろうと考えます。
「PL顆粒」は、くしゃみ・鼻みずなどの鼻症状メインのかぜには、特に効果が高いと考えられます。
せき・痰などの症状がつらい場合には、「パブロン・ルルA・ストナ」など他ブランドの総合感冒薬を服用するのも1つの選択肢だろうと考えます。
「パイロンPL」シリーズには、顆粒剤の他に錠剤の商品も販売されています。
詳しくは次の記事にまとめています。
粉薬(顆粒剤)の服用が苦手な方は、ご覧ください。